粘土で形が作れないのは、手のひらの反射が関係しているかも

粘土で形が作れないのは、手のひらの反射が関係しているかも

「粘土を渡すと、握りつぶす、立って上から押しつぶす、粘土板になすりつけるだけで、形にならない」。
「ちゃんと遊べていないのかな」と、心配になった方も多いのではないでしょうか。

その背景には、手のひらの感覚を求める気持ちや、手掌把握反射(パーマー反射)という赤ちゃんの反射の残り方が関わっている可能性があります。

この記事では、その見方と、年齢ごとの影響、家庭でできる関わり方、相談の目安をお伝えします。

その「つぶすだけ」の粘土遊びには、手のひらの感覚を求める気持ちが関わっているかもしれません

粘土を両手で握って感触を味わう子どものイラスト

結論からお伝えします。
粘土を握りつぶす、押しつぶす、なすりつけるといった動きは、手のひらの感覚を求める気持ちの表れとして現れることがあります。触覚そのものを楽しんでいる姿とも言えます。

支援の現場でよく見られるのは、粘土に触れると手を握って開く動きを繰り返し、丸める・ちぎるといった動きに進みにくいお子さまの姿です。
「やる気がない」と見えても、本人は粘土の心地よさを一生懸命に味わっていることが少なくありません。

粘土遊びで見られやすい、3つの動き

粘土遊びでは、次のような動きがよく見られます。

  • 粘土を握りしめて離す、つまり手を握って開く動きだけを繰り返す
  • 机の上の粘土板に粘土を置き、立って上から両手で押しつぶす
  • 粘土板になすりつけるように、粘土を伸ばす

「遊べていない」のではなく、手のひらの感覚を楽しんでいる

握る、つぶす、なすりつけるは、触覚と力の感覚を同時に味わえる遊びでもあります。形にならなくても、遊べていないわけではありません。
ただ、形を作る段階へ進みにくいときは、体の使い方を見直すと、関わり方のヒントが見つかることがあります。

なぜ手のひらの反射が、粘土での造形に関わるのか

手のひらに触れた粘土を握りこむ子どもの手のイラスト

手掌把握反射と粘土遊びのつながりを、順に見ていきます。

手掌把握反射とは

手掌把握反射は、赤ちゃんの手のひらに触れると、指がぎゅっと曲がって握りしめる反応です。
生後3か月までは全ての乳児で誘発でき、通常は生後6か月までに目立たなくなります。その消失は、手を自分の意思で使い始める時期と関連するとされています(出典:Futagi et al., 2012)。
握る力の面からの説明は、関連記事「ものをよく落とすのは、手のひらの原始反射が残っているのかも?」でも紹介しています。

残っていると、起こりやすいこと

この反射が残っていると、次のような様子が見られやすい、という考え方があります。

  • 手のひらへの触覚刺激そのものを楽しむ傾向がある
  • 手のひらに粘土が触れると、指が曲がって握りこむ動きが増える
  • 指の分化が未熟で、つまむ・ちぎる・丸める・転がす・伸ばすといった細かな動きが難しい
  • 指、手のひら、手首、腕全体を、細かく調整して動かすことが難しい

指の分化については、関連記事「じゃんけんでグーとパーしか出ない? 指の分化と原始反射から紐解く発達支援」でも紹介しています。

発達障害のない3〜11歳の14研究のレビューでは、運動発達との関連を調べた6件すべてで負の関連がみられ、特に手先の巧緻性などに影響がありました(出典:Provazník et al., 2026)。健康な4〜6歳の35名の調査でも、反射の程度が強いほど運動能力が低い傾向でした(出典:Gieysztor et al., 2018)。発達障害のある子どもで残存が多いというレビューもあります(参考:Sigafoos et al., 2021)。

ただし、これらは手掌把握反射だけを分析した研究ではなく、エビデンスは限定的とされています。粘土での造形の難しさの原因と確立されたものではなく、支援の現場での見方の一つとして読んでください。

感覚入力が優先されると、粘土遊びはこうなりやすい

手のひらの感覚を入れることが優先されると、粘土遊びは次のような動きで終わりやすくなります。
下の表に、動きと、造形につながりにくい理由をまとめます。

粘土での動き 感覚としての意味 造形につながりにくい点
握りしめて、離す 手のひらに強い圧と触感が入る 丸める・ちぎるに進みにくい
立って上から両手で押しつぶす 腕全体に重さと圧が入る 手先で形を整える動きになりにくい
粘土板になすりつけて伸ばす 手のひら全体で触感を味わい続ける 立体にまとめる動きになりにくい

様子だけで反射の残り方を見分けることはできないため、気になる場合は専門家の見立てを受けると安心です。
お子さまの手の使い方を詳しく見てほしいときは、お気軽にご相談ください。無料相談は、Bless Visionのお問い合わせフォームから受け付けています。

造形やごっこ遊び、図工への広がりにも影響することがあります

粘土の型抜きで遊ぶ子どもと見守る保護者のイラスト

手のひらの感覚が中心の遊びが続くと、遊びの広がり方にも違いが出ることがあります。あくまで可能性で、個人差が大きい点です。

幼児期:型押しや見立て遊びに広がりにくい

幼児期は、粘土で造形物を作ることがまだ難しい時期でもあります。それでも、型押しや抜型を使って楽しむことは可能です。そこにも至らず、こねるだけで終わっている場合は、感覚を味わうことが中心になっているのかもしれません。

また、「果物を作ってお店屋さんごっこをしよう」「好きな生き物を作って動物園に見立てよう」といった遊びには、形を作る力が必要です。こうした遊びに広がりにくいと、友だちや大人とやり取りする機会が少なくなる場合もあります。

学童期:見本を見て作る図工の課題に取り組みにくい

学童期になると、見本を参考に自分の造形物を作る図工の課題が出てきます。粘土に加え、はさみで切る、のりで貼るといった手先の作業も重なるため、うまく取り組めない場面が出てくる可能性があります。
はさみについては、関連記事「はさみで線どおりに切れないのは、手のひらの反射と目の使い方かも」もご覧ください。

握る・つぶす遊びを楽しんでいること自体は、自然な姿です。早めに背景に気づけると、関わり方を選びやすくなります。

家庭でできる関わり方と、Bless Visionの取り組み

保護者と子どもが粘土やスライムの感覚遊びを楽しむイラスト

家庭でできる工夫と、当ルームでの取り組みを紹介します。

粘土遊びを「感覚遊び」として楽しむ工夫

スライム遊び、人工砂遊び、粘土遊びなどの感覚遊びは、支援の現場でよく取り組まれる方法です。ただし、感覚遊びで反射が統合されるかを確かめた研究は限られています。無理のない範囲で取り入れてください。

  • 握る、つぶす、なすりつけるを否定せず、まず一緒に楽しむ
  • スライム、人工砂、粘土など、手のひら全体で触れる素材を取り入れる
  • 型押しや抜型を、大人がやってみせる
  • 粘土の硬さや種類を変えて、扱いやすいものを探す

指の動きを引き出す遊び

つまむ・ちぎる・丸める・転がす・伸ばすといった動きを、段階を分けて取り入れます。

  • ちぎる:小さなかたまりを指先でちぎる
  • つまむ:粘土にビーズを1粒ずつ刺す
  • 丸める:手のひらで転がして、だんごを作る
  • 転がす・伸ばす:ひも状にしたり、めん棒で平らにしたりする

うまくできなくても責めず、できた動きを具体的に褒めてください。

当ルームでの取り組み

当ルームでは、感覚遊びに加えて、整体の手法を取り入れた手技と専用の道具で、手のひらへ直接刺激を入力する方法も取り入れています。指の関節の一つ一つにも刺激を入力することで、変化を実感しやすいケースがありました。

あるお子さまは、最初は手のひらに手技を施すと「指が曲がる!どうして!?」「くすぐったい」と話していました。数か月後には、手のひらを触っても指が曲がらなくなり、くすぐったい感覚も「全然平気」と言うようになりました。さらに、スクイーズボールを壊れそうになるほど力任せに握りつぶしていたのが、やさしく握れるようになりました。

もちろん個人差があり、すべてのお子さまに同じ変化があるわけではありません。ただ、合わないやり方が続くと、お子さまも保護者さまも疲れてしまうことがあります。見立てが必要なときは、専門家と一緒に進めると回り道が減ります。
親子で取り組むセラピーの内容と料金は、料金ページでご確認いただけます。

粘土遊びと手のひらの反射についてよくある質問

何歳ごろから、形のあるものを作れるようになりますか

年齢だけで判断するのは難しく、個人差が大きい部分です。
触ることを楽しみ、型押しや抜型を経て、少しずつ形を作る遊びへ広がるお子さまが多くいます。他の指先の遊びでも進みにくい様子が続く場合は、一度ご相談ください。

粘土を触るのを嫌がる場合も、同じ原因ですか

同じとは限りません。触覚の過敏さなど、別の理由で粘土が苦手なお子さまもいます。
無理にさせず、手袋や道具を使うなど、負担の少ない方法から試してください。理由が気になる場合は、専門家に相談してみてください。

粘土は、続けさせたほうがよいですか

無理のない範囲で、短い時間から楽しく続けるのがおすすめです。嫌がったり疲れたりしたときは、いったん切り上げて大丈夫です。

どこに相談すればよいですか。費用はどのくらいかかりますか

地域の発達相談、作業療法を行う機関などが窓口になります。
当ルームでも、手の使い方の見立てと、家庭での遊びの組み立て方の相談を承っています。

料金や進め方は、料金ページと無料相談で確認できます。早めに動くほど、選べる関わり方が広がります。
手の使い方のご相談は、無料相談のお問い合わせフォームから受け付けています。

粘土遊びの「つぶすだけ」は、手のひらの視点から見直してみましょう

保護者さまとお子さまとセラピストが穏やかに相談しているイラスト

Bless Visionは、リハビリの視点と心理の視点を組み合わせて、お子さまの体の使い方を見立てるセラピールームです。
保護者さまにも家庭でできる手法をお伝えするので、セラピールームと同じ関わりをご家庭で続けられます。

「粘土で形が作れない」「握りつぶすだけ」という様子は、手のひらの感覚という視点で見直すと、家庭でできる関わり方が見えてきます。気になる点は早めに相談することで、お子さまに合った進め方が選べます。

後で「もっと早く相談すればよかった」とならないよう、まずは無料相談のお問い合わせフォームからお子さまの様子をお聞かせください。

発達には個人差があります。気になる場合は、自己判断だけで進めず、専門家にご相談ください。

参考文献・参考サイト