座ると腰がずれるのは怠け?原始反射との関係

座ると腰がずれる_原始反射との関係

「座っていると、いつの間にか腰が前へずれてくる」
「授業中に、机にうつ伏せになってしまう」

こうした姿勢の崩れは、「怠けているのでは」と見られやすいものです。
けれど、ガラント反射・ATNR・STNRといった原始反射が関わっていて、本人は一生懸命にまっすぐを保とうとしても難しい場合があります。

この記事では、姿勢が崩れる理由、家庭や学校でできる工夫、相談を考える目安をお伝えします。

その姿勢の崩れは、怠けではなく「まっすぐ保つのが難しい」サインかもしれません

机に上体を預けてプリントに取り組む子どものイラスト

結論からお伝えします。
腰が前へずれる、机にうつ伏せになるといった姿勢は、体の仕組みからまっすぐを保つのが難しいサインとして現れることがあります。

実際にご相談で多いのは、「先生から姿勢を注意されるが、家でもなかなか直らない」「本人も気をつけているのに続かない」というお悩みです。
見た目にはだらけているように映っても、本人は努力していることが少なくありません。

腰が前へずれる、うつ伏せになる場面で起きていること

腰が前へずれると、背もたれにもたれ込む姿勢になります。
上体を机に預けたり、うつ伏せになったりするのも、体を支えきれずに楽な形を探した結果である場合があります。

当ルームの観察でも、プリント課題のときに姿勢が安定せず、上半身を机にもたれさせ、左腕を伸ばして顔を右へ向け、右手で字を書くお子さんの姿がよく見られます。
椅子の背もたれに触れた刺激に反応しているようにも見えます。
そんなに姿勢が崩れていても、課題そのものには集中して取り組んでいることが多くあります。

まっすぐ座るよう促されると、かえって姿勢の維持に意識が向き、課題に集中しにくくなるお子さんもいます。

まっすぐ座るのは、実は体にとって大きな仕事

背すじを伸ばして座り続けるには、体幹の支え、バランス、頭や目の向きの調整を同時に行う必要があります。
これらが十分に働かないと、姿勢を保つだけで疲れてしまい、崩れた姿勢のほうが楽に感じられます。

足の裏の感覚もバランスや疲れやすさに関わり、関連記事「靴下と靴、脱いだり履いたりが大変な理由」で触れています。

姿勢の崩れに関わる、3つの原始反射

姿勢に関わる3つの体の反応を表した子どものイラスト

原始反射とは、赤ちゃんが生まれつき持っている、無意識に起こる体の反応です。
乳児の神経の発達を診る手がかりとして、小児神経の診察でも用いられています(出典:Zafeiriou, 2004)。

多くは成長とともに目立たなくなりますが、姿勢の場面では次の3つが関わるという考え方があります。

  • ガラント反射
  • ATNR(非対称性緊張性頸反射)
  • STNR(対称性緊張性頸反射)

ガラント反射:背中や腰まわりへの刺激に体が反応する

ガラント反射は、腰の脇に触れると腰をくねらせるように動く反応です。
残っていると、背もたれに腰が触れるたびに背中や腰が動いてしまい、じっと座っているのが難しくなる、という考え方があります(参考:CREDO)。
「座ると腰がずれる」様子は、背もたれの刺激を避けて体が動いた結果かもしれません。

詳しくは、関連記事「トイトレが進まない・おねしょの悩みに!ガラント反射と発達の解説」をご覧ください。

ATNR:顔を向けた側の腕が伸びる

ATNRは、顔を向けた側の腕が伸び、反対側の腕が曲がる反応です(参考:integratingreflexes.com)。
残っていると、書くときに顔を向けた側の腕が伸びやすく、姿勢を保ちにくいことがあります。

読みに困難のある子どもで、ATNRの残り方が多かったという報告もあります(出典:McPhillips & Sheehy, 2004)。
ただし、この報告では原因と結果の関係までは示されていません。
正中線との関係は、関連記事「お絵描きが半分で終わる?左側のおかずは食べない? 正中線をまたぐ身体の動きと発達の関係」で紹介しています。

STNR:頭の上げ下げに、腕と足の動きが連動する

STNRは、頭を上げると腕が伸びて足が曲がり、頭を下げると腕が曲がって足が伸びる反応です(参考:integratingreflexes.com)。
残っていると、ノートを見下ろすたびに腕が曲がって上体が机へ近づき、うつ伏せのような姿勢になりやすい、という考え方があります。

下の表に、3つの反射と姿勢の場面をまとめます。目立たなくなる時期は目安です。

反射 目立たなくなる目安 姿勢の場面での様子
ガラント反射 生後9か月ごろまで 背もたれの刺激で腰が動く
ATNR 生後4〜6か月ごろ 顔を向けた側の腕が伸び、書く姿勢が崩れる
STNR 生後8〜12か月ごろ 見下ろすと腕が曲がり、机に伏せやすい

複数の反射が重なることもあり、見た目だけで判断はできません。
時期の目安は、ATNRとSTNRはマイナビ保育士(医師監修)、ガラント反射は当ルームの関連記事によります。

お子さんの姿勢のどこに反射が関わっているか見立ててほしいときは、お気軽にご相談ください。
無料相談は、Bless Visionのお問い合わせフォームから受け付けています。

姿勢を支えるために、家庭と学校でできる工夫

足台のある椅子で落ち着いて宿題に取り組む子どものイラスト

姿勢を支える方法は、声かけだけではありません。環境の調整と、体を使った取り組みを紹介します。

促すだけでは難しい理由と、環境を整える工夫

「背すじを伸ばして」と声をかけても、体の仕組みから続けにくいお子さんがいます。
うまくいかない経験が重なると、本人が「自分はだめだ」と感じてしまうこともあります。

そのぶん、姿勢を保ちやすい環境を整える選択肢があります。

  • 足の裏が床や足台にしっかりつく高さに調整する
  • 机と椅子の高さを、体格に合わせる
  • 背もたれの当たり方が気になるときは、素材や形を変えてみる
  • 姿勢が崩れていても課題に集中できているときは、その姿勢を見守る

足台などの環境調整は、関連記事「『食べこぼし』は不注意?『丸のみ』は慌てて食べている?」でも紹介しています。

バランスボールで背中を伸ばす取り組み

当ルームでは、姿勢が崩れるというご相談を保護者さまから伺った場合、多くのケースでバランスボールを使った背中伸ばしをしていただきます。
ボールの上で体を預けて背中を伸ばし、姿勢を保つ感覚を体で覚えていくことがねらいです。

早いお子さんでは数か月で姿勢を保ちやすくなり、宿題を進めるスピードが上がった例があります。
もちろん個人差があり、すべてのお子さんに同じ変化があるわけではありません。

姿勢の悩みが続くと、本人の自信にも影響することがあります。
お子さんの体に合った取り組みを、一緒に見つけませんか。
親子で取り組むセラピーの内容と料金は、料金ページでご確認いただけます。

相談を考える目安

年齢が低く、遊びや活動の中で姿勢を立て直せる場面があれば、様子を見てよいことが多いです。
一方、次のような場合は、専門家の見立てを受けると安心です。

  • 学年が上がっても、座っていられる時間が短い
  • 姿勢の悩みで、宿題や授業への意欲が下がっている
  • 家庭や学校の工夫を試しても、変化が見えにくい

座ると腰がずれる子と原始反射についてよくある質問

高学年や中学生でも関係することはありますか

学年が上がっても、体の使い方が姿勢に影響することがあります。
ただし筋力や視力、環境など他の要因も重なるため、まず見立てを受けてみてください。

原始反射が残っているかどうかは、家庭でわかりますか

家庭での自己判断はおすすめしません。
反射の確認には専門的な観察が必要です。気になる場合は、日常の困りごとを整理して専門家に相談してください。

学校に姿勢のことを伝えるときは、どうすればよいですか

「体の使い方が難しい様子がある」ことと、「足台を置く」「姿勢が崩れても課題に取り組めていれば見守る」といったお願いを具体的に伝えると、共有しやすくなります。
当ルームでは、先生方からのご相談も承っています。

どこに相談すればよいですか。費用はどのくらいかかりますか

小児科、地域の発達相談、作業療法を行う機関などが窓口になります。
当ルームでも、姿勢の見立てと家庭での取り組み方の相談を承っています。

料金や進め方は、料金ページと無料相談で確認できます。早めに動くほど、選べる方法が広がります。
姿勢のご相談は、無料相談のお問い合わせフォームから受け付けています。

座ると腰がずれる姿勢の悩みは、体の視点で見直してみましょう

親子とセラピストが穏やかに相談しているイラスト

Bless Visionは、リハビリの視点と心理の視点を組み合わせて、お子さんの体の使い方を見立てるセラピールームです。
親御さんにも家庭でできる手法をお伝えするので、セラピールームと同じ関わりをご家庭で続けられます。

「座ると腰がずれる」「授業中にうつ伏せになる」姿は、本人が頑張っても難しい場合があります。
体の視点で見直すと、家庭や学校でできる工夫が見えてきます。

後で「もっと早く相談すればよかった」とならないよう、まずは無料相談のお問い合わせフォームからお子さんの様子をお聞かせください。

発達には個人差があります。気になる場合は、自己判断だけで進めず、専門家にご相談ください。

参考文献・参考サイト